虹色NOTEBOOK

日々の出来事 想いのままに……

恩師に誘われた

(移設復刻 改訂記事)

 

恩師のお命日があった今年6月、師匠ご夫妻の夢を見ました。
時々、夢には出ていらっしゃるし、毎回色んな物語になっています。
この日の夢は、目覚めた時には覚えていませんでしたが、にこやかに笑っておられた。楽しい夢だった。 穏やかで楽しく幸せな気分の朝になりました。

すると、ふと想い出しました。 記憶の彼方にあった事。

 

もう15年……20年近く前の事

小学1年生だった娘のレッスンを迎えに行きました。
次の中学生クラス開始時間をスタジオ内で待機していらした今は亡き恩師。
先生が中から私に何やら話し、身振り手振りで合図なさっている。(ガラス越しにスタジオ内が見える) 何だろうとスタジオへ顔を出しました。
「教えたってんか」 !???? ビックリ! 理解出来なかった。 絶句。無反応……
しばらく時間が止まったかのようでした。 ヘロヘロぼけぇっと子供を迎えに行った無防備な、オバチャンと化した自分。(今と比べれば、まだまだ若いのだけれど)

ベビークラスならともかく、幼少からバレエをやっている中学生とは、だいぶ踊れますからね。 しかも、後に海外バレエ団でプリマになる子がいる。(当時から抜きんでていました)

そんなクラスを私が教える!?  有り得ない。そんなわけない。 何を言ってらっしゃるんだろ!? 冗談だわ。 私は からかわれている。と思いました。
絶句、無反応タイムにこれらを思ったんですね。 苦笑いと共にブルブルと顔を横に振りました。

「教えるようになってくれへんか」と再び仰られた。その他色々仰られたよう…… もう私はビックリと理解不能。予測にはない言葉、出来事にグルグル混乱パニック…… よく聞こえてなかったのでしょう…… 自分なんて有り得ない。滅相もない! とブルブル。からかわないでください。という思いで遠慮しました。

「あかんか……」と呟かれました。 両開き扉 心のドアを閉める。かのように私はさがりました。 中学生クラスはレッスン開始。
先生はいつになく、気のせいかシュンとして見える…… !?先生まさか本気だったのかな? 私はスタジオを見つめながら、も一度考えてみました。

私が教える。教える人になる? そりゃあ……教えれる事が何っにも何一つ欠片もないっ。て事もないだろうけどぉ……
でも、私に教えられたいか? 否。そんなことないだろう。 奥様先生もダメと仰るに違いない。

 

実は、これより数年前、

助教師(お手伝いの先生)不足でお困りだった時期、先生がとても大変そうで、見るに見かねて……申し出た事がありました。奥様先生に。
「ベビークラスくらいなら……」と。

何かお手伝いをするべきなんじゃないか!? と、悩みに悩んだ末、意を決して!!

でも、一蹴されました。 自分を改めて認識したのでした。

 

前記の今は亡き恩師のお誘いを受けた時、

私に出来るか? 出来るわけがない。やっぱり無理だ! 
私の中の電源は完全にオフとなり、記憶の彼方へ……

 

そういえば……思い出した……

出産後ご報告に伺った時、

発表会本番近くの頃のレッスン中でした。

先生は、私を見るとスタジオから出ていらして「もし誰か出なくなったら、出てや。振り覚えといて」 今から今すぐ。な感じで仰る。(師匠らしい……) (発表会練習期間中にトンズラしたり、消える人って時々いるのです)

何を突然!? ビックリ。1年近く休んでる私が!? いきなり?  まさか。何で私が、と。

それに、そうなったら誰か他にいるでしょ。私よりマシな人。

もう! 先生ったら何ご冗談を。と思いました。

 

芋づる式? 記憶が掘り返ってきました。
更に前の現役時代の事

先生には よくレッスン中、尋ねられていました。
振り(アンシェヌマン)、「次 何やった?」は日常茶飯事。

「こういうのやりたいねんけど、出来る?」とか…… 初めは、私自身が出来るかを尋ねられていると思っていましたが。 「男は、トウシューズを履かないから、トウシューズを履いて出来る動き、足さばきの事が、実はよくわからないねん」と、のちに仰っていました。

しかし何故、先生は逐一私に聞くのかな? と不思議に思っていました。 尋ねる側としては、答えが得られる人に訊くもの。なのでしょうが…… 他に妥当な人が居ない時ならともかく……
もっと大人の方、バレエをお仕事になさっている方が一緒に受ける機会があった時も、隅っこに居る私にお尋ねになり、まさか!? こんな日にまで?? とビックリした事もありました。 その時、わかっていたけれど、皆さんを前に恐れ多いというか、恥ずかしいので答えなかった。 すると先生は、他のそういった方々に尋ねられたけれど、他の方々もわかっていなかった。 私は内心それにもビックリしました。何でわからないのかなあ?と。ちょっとあきれた。 な~んだ。

そういう事だったのかもしれません。 当時の先生には、振りの事は私に訊けば分かる。という図式だったのでしょう……

 

大きな教室を長年やっていると、育った弟子が助教師として手伝うようになるんですが、手薄でピンチな時期が数年毎に巡って来ていました。
そんなある時

大先輩で独立なさっている男性の先生が、奥様先生にご提案なさった事がありました。

「小さい子や支部などは、私に教えさせたらいい」といった趣旨を。 私も同席していた時で、とてもビックリしました! 
発表会時期にお手伝いにいらっしゃり、その時だけお会いする先生が、何故そのように仰るのか? 
いつも自らのご意見などは仰らない方なのに。特に奥様先生に向かっては。
不思議でした。 奥様先生は空返事をなさり、軽く流されました。

バレエの世界の男性は、仕事としてバレエをされているので、ある意味厳しいんですよね。 女性の先生だって仕事だし、また別の厳しさがありますが。 それぞれ随分違った感じなんですよ。

 

亡き恩師や先輩先生は何故?? 私をお勧めになられたのか、サッパリ理解出来ませんでした。 不思議な出来事でした。そしてそれらは記憶の彼方へ沈んでいました。

私はどう映っていたのだろうか?…… いつか人生卒業したら、お二方に伺ってみたいです。

 

教室の先生の数が足らなくなる。何度も何度もそんな危機があり、遂には、奥様先生からも頼まれました。 が、その度、辞退いたしました。

私は、ベビークラスから習ってきて、信頼し、親しみを抱き、甘え、懐いていました。 そして、奥様先生にとっての私という存在、位置づけも、わかっていました。

頼みつつ、乗り気でない事も。

それでも最終的には、お手伝いに最低限の参戦をするようになるんですけれど……

 

そして更に、

まさか?? まさか!? まさか!! の教室をやっている私。

どうなんだろう……と思う事もあります。常に自問自答の繰り返し……

想い出した事。

私、先生に誘われたんだ…… 自信を持っていこうよ…… と、

勝手に想おう……